さおりのせかいへ、ようこそ。
最近、短い文章から想像を膨らませ、大きな話を作り出すことにハマっています。
大げさに、壮大に誇張し、日常のちょっとしたことを大冒険したかのように作り上げるのが、さおりの創作話。
いつまで続くかわかりませんが、ぼちぼちと載せていこうと思います。
さて、本日のお題は。
「今日は自転車にたくさんのりました。たのしかったです。」
小学生の日記によくありそうなこの文章を使って、盛りに盛った話を創作していこうと思います。
ぼくは自転車が大好き
プロローグ
今日は待ちに待った日曜日。お父さんとお母さんのお仕事がお休みの日だ。
妹と一緒に交通公園に連れて行ってもらって、実際に信号機や横断歩道がある道路に見立てた公園で、交通ルールを守りながら自転車に乗るんだ。
交通公園は広いので、めいっぱいスピードを出して走れるから、ぼくはこの日が待ち遠しかった。
お父さんの車に乗って、お母さんと、妹と、ぼく。いざ、交通公園へ!
ぼくは、風になる
交通公園についた。ぼくは早速、自転車にまたがる。
サドルに座った、この感触。何とも言えない、やわらかさ。
右足をペダルに乗せる。心がわくわくする、この気持ち。
ぐっと右足に力を込める。走り出す自転車。目の前の景色が流れる。
左足もペダルに乗せる。今、ぼくは自転車と一体になる。
さらに足に力を入れてこぐ。あぁ、今ぼくは…風になる!!
颯爽と駆ける自転車
ペダルをこぐ足に一層力を込める。自転車はぐんぐんスピードを上げて走り出す。
最初のカーブだ!落ち着け、ぼく。スピードの出し過ぎは危険だ!
ゆるやかにブレーキをかけて速度を落とし、徐々にハンドルを曲げていく。
よし、スピードはちょうどいい。このままカーブを抜けて、直線が見えたら一気に加速だ!
颯爽と駆ける自転車。ぼくはもう、風になった。
迫ってくる信号、そして…
しかし、風になったぼくをいつまでも走らせてはくれない。
そう、信号だ。
目の前に見える信号が黄色になった。そして次は赤だ。
ぼくは止まらければならない。
信号無視をして走り抜けるか!否、それは交通ルール違反だ。事故が起きる。
ゆっくりとブレーキをかけ、徐々にスピードを落としていく。風になったぼくは、いつもの平凡なぼくに戻っていく。
停止線の前で止まる。
目の前を、他の自転車にのった子たちが通り過ぎていく。交通とはそういうものだ。
…と思った瞬間!
ガッシャーン!!
突然の衝撃、そして倒れるぼく。倒れながら後ろを振り向く。
妹に突っ込まれた。大事故だ!
エピローグ
こうして、ぼくは大事故に見舞われ、自転車を降りた。幸いケガはなかった。
突っ込んできた妹は、膝を擦り剥いて血が出ていた。大泣きだ。
なんだよ、泣きたいのはこっちだ。
そう思う気持ちを抑え、ぼくは妹に手を貸した。
ぼくは自転車が大好きだ。今日はこれで帰ることになってしまったが、また近いうちに連れてきてもらうんだ。
いや、もっと広い公園で思いっきり走るのもいいかもしれない。誰にも邪魔されずに走るんだ。
そしてぼくはまた、風になる。きっとだ。
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